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父の日 
今日は父の日。
お刺身が好きだった天国の父へ。


昔父は、たまに釣りに行っては、釣ってきた魚をさばいて、お刺身にしてくれた。
子ども心にも、あの時のスズキのお刺身はとてもおいしかった。
「おいしいべ?」と言って、ぱくぱく食べる私に誇らし気な顔をした。

いい思い出もあれば、苦い思い出もある。
正直、美しい記憶ばかりではない。
それでも、いつまでも続くと思っていたものがふと絶たれたら、それは全て手の届かないものになった。
なんて取り返しのつかない日々を送っていたのか、私は。

訃報を受けたのは、仕事中だった。
不思議と涙は出なかった。
翌日、飛行機に乗って帰ると家には誰もいなかった。
薄暗い居間のテーブルの上に、遺影に使う写真が一枚置いてあった。
手にした瞬間、初めて涙がこぼれた。
その後は堰を切ったように、人はこんなに泣けるものかというくらいに泣いた。

あれから7年。

失ったものを埋めあわせるように、取り返すように、償うように、何をしたらいいのかを考えて生きている。
少しでもいい人になれるようにと。
父が遺した大きな宿題は、必ず私を大きな人間にするだろうと思う。

いやになるほど父にそっくりな私は、今日も元気です。